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地銀担当検査部隊の大移動

金融庁は、近く総合政策局に配置した地域金融機関の検査部隊50人程度を監督局に異動することを明らかにした。これにより監督局在職の検査官は109人から160人程度となる。これにより監督全体の定員は470人程度を上回り、これまで最大の組織であった総合政策局の定員を超え、最大の局となる。夏の人事異動からわずか4か月程度というこの時期に大幅な異動を行うのはなぜか。また、検査官以外でも事実上の組織変更となったのが、総括審議官。総括審議官は検査を抱えていたが、今後は官房機能に特化する見込み。これもなぜなのか。予算要求とこれだけ違うと来年度の予算に影響しないかと思われるほどだ。

◎監督局に50人の検査官を移す

 

 検査官の大幅な異動は、金融庁が各県で定期的に開催している業務説明会で遠藤長官が12月6日に公表しました。これに引き続き各都道府県で説明会が開催され、新体制について説明される運びとなっています。50人もの検査官を総合政策局から監督局に異動させるというのは、極めて異例のことです。まだ新しい体制になってわずかです。

 

 理由は二つ考えられます。ひとつは、前長官の森氏の構想と現長官の遠藤氏の考え方が違っていたということです。新しい組織ですので、当初の目論見通りにならないこと、想定外のことは起こりがちです。今年の組織改革で目指したのはオンオフ一体化のモニタリング体制の構築です。オンサイト、オフサイトともにできる職員の集団にしていこうという理想があります。マクロプルーデンスを押さえたうえで検査に入るというパターンを醸成しようとしていたはずです。しかし、現実にはそれだけの必要性がなかった、あるいはそうした人員養成の仕組みがまだ整っていなかったということです。
 
 もうひとつの理由は、環境変化です。金融機関のプルーデンス、健全性の問題が現実味を帯びてきたという事情があるのではないかと推察できます。金融庁が懸念している地域金融機関のビジネスモデルのサステナビリティのモニタリングに人員を投入したいという事情があったのではないでしょうか。
 
 新組織の起案者は森前長官です。遠藤長官は実践していかなければなりません。遠藤長官が現実的な判断を下したということではないでしょうか。内部事情はわかりませんが、来年の定期異動まで待てないほど、事態は切迫していたことになります。
 
 具体的にどのグループが動くのか、見えていませんが、渡辺公徳地域金融監理官(総合政策局・監督局)の部下50人を監督局に異動させるということになるようです。

 

◎総括審議官は官房に特化

 

 今回の異動と若干関係して、佐々木清隆総合政策局長と中島淳一総括審議官のミッションが当初とは変更されたようです。当初、予算要求の際には、総括審議官は「マクロプルーデンスやITなど専門チームを統括する」こととされ、その部下として多くの検査官を置くことになっていましたが、現状、中島氏はもっぱら官房に特化しているようです。本来、総括審議官には官房機能が求められていたわけですから、当然と言えば当然のことです。総括審議官が検査官を束ねるという構想には、小生としては違和感を覚えておりました。

 

 佐々木局長は、現在、マネロンと仮想通貨問題の担当しており、看板のマクロプルーデンス政策は屋敷利紀参事官が担当しています。今回の異動は屋敷氏のミッションがツーマッチになっていたため、これを軽減するという意味合いもあったようです。


 モニタリングを受ける地域金融機関側にとって何か影響が出てくるかといえば、あまり、なさそうです。遠藤長官が決めた「プルーデンスは本庁、金融仲介機能は財務局」といった構図は変わっていません。現在進行中のトップヒアリングも同様のスタイルとなるとのことです。


 結局、大監督局が誕生することになったわけですが、栗田監督局長がすべてを所管するということではなさそうです。直接、遠藤長官に伺ったわけではなく、間接的に聞いた話ですが、遠藤長官が監督局長兼務、栗田局長が検査を中心に担当するようです。これも今後の運用次第ですので、不明です。


 なお、スルガ銀行問題に端を発した投資用不動産融資アンケートについては、総合政策局で引き続きモニタリングしていくとのことです。

 

(12月29日追記)

 上記の移動するグループがわかりました。総合政策局の地域銀行分析室と地域銀行モニタリング室を監督局に移動させました。これによって、分断されていた地域銀行のモニタリングが一元管理されます。栗田監督局長と油布審議官のもとに銀行2課、地域金融企画室、地域分析室、地域銀行モニタリング室が集まりました。

 

 総合政策局が中心となってモニタリングするのは、メガバンクと公的資金を注入した銀行、財務内容の厳しい先となります。