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日銀理事に初の女性登用

日銀は前田栄治理事の任期満了にともない、5月11日に清水季子(ときこ)名古屋支店長を後任理事とする人事を発令した。女性理事は初のこと。この人事の含意とは何か。また、金融庁でも少し前の4月人事だが、天谷知子審議官が局長となったことの含意を併せて考えたい。

◎清水季子名古屋支店長理事

 

 このコラムで昨年秋、清水氏の理事長格は、すでに入行同期年次(1987年・昭和62年)の山田泰弘理事が発令されていることから、実現できないではないかとの見方を紹介しました。それが見事に外れました。当時の確率は5割という日銀内部(日銀OBも)の下馬評だったので「ない」と考えました。すでに、その時点で内定していたのかもしれませんが、察知するに至りませんでした。見通せなかったことの言い訳になってしまいますが、人事担当の雨宮副総裁の気が変わったのか、あるいはコロナ騒ぎも影響したのではないかと―遠吠えさせて頂きます。

 

 背景には女性登用という政府の要請、社会からの要請があったのは間違いありません。女性進出の遅れが指摘され、5年ほど前に政府は女性登用の数値目標を策定するよう政府関係団体・組織に指示しました。もちろん、それ以前から意識して取り組んでいる省庁もありますが、数字で示したのはこのときからです。日銀もその準備に取り組み、清水氏のキャリアを育ててきたものと思います。

 

 実は清水季子氏には局長経験がありません。これまで理事となった方々はすべて局長を経験しています。この点からも異例、特例といった雰囲気があります。理事は一般の会社で言えば、取締役ですから、それ相応の修羅場を踏んだという実績が求められます。しかし、清水氏はおもに海外調査畑を歩んでこられたため、外部からはよく見えませんでした。多分、相応の隠れた実績があったものと推察します。

 

 清水氏の経歴ですが、名古屋支店長の前は、欧州統括役・ロンドン事務所長。それ以前は国際局審議役、国際局参事役、金融機構局上席考査役、高松支店長、ロンドン事務所次長、金融機構局企画役、金融市場局金融市場分析担当総括企画役、金融市場局企画役、金融市場局調査役です。ちなみに金融市場局のときの上司が中曾前副総裁です。

 

 なお、清水氏の次の女性理事候補として、平成3年入行のH氏と平成6年のK氏の名前が挙がっています。つまり、継続して女性理事という体制にはなりそうもありません。この機会に清水氏を抜擢しないと次も遠くなるという配慮もあったのかもしれません。

 

 ところで、理事には担当職務分野が定められていますが、名古屋支店長理事のままということは、考えにくいところです。来年、二人の理事(衛藤・吉岡氏)が退任します。その機会に清水氏は国際担当理事になるのではないかと思われます。

 

 現在、国際担当理事は企画担当の内田眞一理事が兼務しています。コロナ騒ぎで金融関係の国際会議が無くなり、専担の渉外担当者としての国際担当理事不在でもこなせているのかもしれません。しかし、コロナ収束が見えてきて、国際会議が再開されるようになれば、実務担当者の海外出張が必要になります。

 

 衛藤・吉岡理事の後任は、加藤毅企画局長(63年)と高口博英金融機構局長(63年)が有力です。仮にそうした理事の体制となったときに、英語会話能力という点からすると、清水氏、あるいは高口氏が選ばれる可能性が高いのではないかと聞きます。高口氏が国際担当に回れば、清水氏は大阪支店長理事ということになると思われます。

 

◎金融庁の天谷知子審議官が局長待遇に

 

 女性の登用ということでは、金融庁の天谷知子氏(昭和61年入省。1986年)の局長昇格も注目されます。天谷氏は4月1日付で「国際総括官」という新設のポストに就きました。金融庁の内規としての局長ポストということで、予算に裏付けられたポストではありません。しかし、金融庁内部では局長として遇されます。「入省年次と実績を配慮しての人事」(金融庁)とのことです。

 

 天谷氏は旧大蔵省のキャリア出身者で事実上、初の女性局長となります。これまでも地方局長、あるいは準局長である審議官となった方はいますが、本省、あるいは外局(金融庁を外局と表現するのは間違いなのですが、現状、外局的ですのでご容赦を)での局長はいません。画期的なことだと思います。国家公務員の正式な定員枠、職制ではないとしても特筆すべきことだと思います。

 

 天谷氏の上司であった某OB氏によりますと、「男性とまったく同じ待遇で扱ってきて、力を発揮してきた女性。これまで女性登用といってもどこかでなにがしかのアドバンテージを与えてきたが、彼女にはそうした配慮は一切なかった」とのことです。

 

 天谷氏の略歴は、現在兼務の金融庁総合政策局審議官(国際・監督局)となる以前のポストを順に並べますと、監視委事務局次長、検査局審議官、預金保険機構調査部長、東京大学大学院教授、金融庁監視委課徴金開示検査課長、監督局参事官、検査局総務課検査企画官、監督局保険課保険審査室長、財務省関税局総務課補佐、EC代表部一等書記官、銀行局金融市場室補佐、尾道税務署長などとなっています。局長にふさわしいキャリアです。


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コメント: 4
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