金融行政動向 · 2023/07/07
金融庁、財務省は7月4日、定例の幹部の人事異動を行った。金融庁長官は栗田照久氏(総合政策局長・昭和62年入省)が順当に昇格した。ただ、局長クラスの異動は限定的であり、審議官の異動も少ない静かな人事となった。同様に、財務省も茶谷栄治次官(61年)が留任したため、主に主計局の異動が少なく、また、ほぼ事前に想定された人事となった。同期入省組による同一ポストの使い回しもあり、全体的に停滞感のある人事となった。
日銀 · 2023/02/27
次期日銀総裁・副総裁人事が国会で承認される見込みとなり、日銀は4月から植田和男総裁(共立大学教授)、内田眞一副総裁(日銀理事)、氷見野良三副総裁(元金融庁長官)という新執行部体制とへと移行する。アベノミクスの象徴であった黒田総裁の異次元の金融緩和政策を受け継ぐだけに総裁就任の条件は厳しく、候補者選定は本命不在のまま越年。1月末に内示案が出るという難産であった。選任までの経緯と新体制の課題について官邸、財務省、日銀筋の情報を取りまとめてみた。(主要新聞メディアの既報分はなるべく省略した。また、2次情報に基づく情報が多いが、信頼できるリソースに基づいている)
時事問題 · 2022/12/19
国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)がモントリオールで12月19日、採択した「30by30」の本質について考えてみました。環境問題を超えた画期的な大きな枠組みですが、ヒトの生存地域の限定という意味も持ちます。ローマ・クラブの「成長の限界」報告書が公表されて半世紀が経ちました。ヒトの生存場所を限定する試みは、ひとつの答えを見いだしたといえるのではないでしょうか。
金融行政動向 · 2022/06/27
財務省、金融庁は6月24日、定例の幹部人事異動を行った。中島金融庁長官は留任、財務省は矢野次官が退任、茶谷主計局長が昇格した。いずれも既定路線のトップ人事だった。「60歳定年の天井」を意識した人事となりつつあり、財務省も金融庁も足早の異動が目立つようになっている。金融庁では伊藤豊監督局長、財務省では青木官房長人事が注目される。
時事問題 · 2022/01/12
新年にあたり、中期的な社会・経済・金融動向の見通しをバタフライ効果のフィルターで描いてみることも面白いかもしれません。たとえば、「慶応病院に名医がいたから、国債発行の歯止めがかからなくなった」と・・・。
金融行政動向 · 2021/07/27
財務省、金融庁は7月8日、幹部人事異動を行った。金融庁は氷見野良三長官(昭和58年・1983年大蔵省入省)が1年で退官し、その後任に中島淳一総合政策局長(60年)が着任した。監督局長を経験していない長官が続けて誕生したことになる。また、天谷知子国際総括官(61年)が次官クラスの金融国際審議官に登用されたことが注目される。一方、財務省は矢野康治主計局長(60年)が事務次官に順当に昇格。ほぼ順当の順送り人事となった。
金融行政動向 · 2021/06/17
金融庁は東京金融市場の国際化を進めるための施策を矢継ぎ早に打ち出している。橋本総理の金融ビッグバン構想から始まり、2016年には小池都知事が国際金融都市構想を公表した。しかし、鍵を握っているファンドマネージャーに関する規制と税制がネックとなり、進捗ははかばかしくなかった。香港市場の凋落の機をとらえ、一気に打開したのが、氷見野金融庁。昨年12月、本来はコロナ感染対策である政府の総合経済対策(菅総理としては初の総合経済対策)にどういう理屈付けをしたのか、「世界に開かれた国際金融センターの実現」という項目をすべり込ませ、税制改正、さらにはファンドマネージャーの在留資格要件も緩和するなどの方針があれよあれよという間に決まった。須らく役所の仕事は危機時に大幅に動き出すが、教科書通りの作戦勝ちだろう。ちなみに氷見野長官が関係者を説得するときに使った殺し文句は「Never die in Tokyo」だった。
時事問題 · 2021/03/19
厚労省で検討していた資金移動業者の口座への賃金支払い、いわゆるデジタルマネーによる賃金支払い構想が頓挫した。昨年の政府の成長戦略に盛り込まれたものの、確実な賃金支払いを求める労働側(連合)の反発が強く、予定の今年度末までに実現するという方針を変更ないし中止せざるを得ない状況となった。議論の場となった厚労省の労政審議会では、多くの問題点が労使双方から指摘されており、それぞれ解決の方向性がまったく見えていない。労政審で指摘された項目以外に構想の背後に大きな課題について考えてみたい。
金融行政動向 · 2021/01/11
金融庁は金融審議会で地銀の統合支援のために、追加的な初期コスト(システム投資等)の一部を公的資金で負担するという政策を明らかにした。事実上、政府による補助金である。この「資金交付制度」の財源は預金保険機構の金融機能強化勘定の剰余金の350億円である。しかし、本来はこの交付金は法的根拠のある補助金として来年度の国家予算に組み入れるべき資金ではないのか(地銀再編特別法として)。しかも、そもそも本当に預保の資金を使ってよいものなのか。
金融行政動向 · 2020/10/29
金融機能強化法が改正、施行され、経営者責任を問われず、また収益目標を約束しなくとも公的資金が借りられることとなった。菅総理の地銀再編発言もあり、先の地域銀行の再編についての特例法とこの改正金融機能強化法により地銀の統合が進むという話題が盛り上がっている。しかし、関係者の話を聞く限り、再編の動きは聞こえてこない。昨年、発動した早期警戒制度による行政処分を一時停止し、むしろ、改正金融機能強化法による公的資金の返済資金のリファイナンスを優先させようとしている金融庁の方針が注目される。

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