金融行政動向

金融行政動向 · 2018/10/08
金融庁は10月5日、スルガ銀行に対して、新規の投資用不動産融資の半年間の停止命令とともに、経営者責任の追及、②コンプライアンス体制の確立、③反社会的勢力排除とマネロン対策の管理強化、④融資審査態勢の強化確立、⑤創業家・岡野氏のファミリー企業との取引の適切管理強化、⑥シェアハウス向け融資についての融資条件のリスケなど債務者への適切な対応を求める命令を発出した。行政処分の内容は極めて厳しいもので、スルガ銀行の経営存続にも影響しかねない内容となった。  処分には、シェアハウス関連融資問題に加え、③と⑤についての事実認定と処分が加わったことがポイント。銀行のさらなる信用力低下は避けられず、経営の縮小均衡は必至であり、場合によって胃は再編につながる可能性も出てきた。
金融行政動向 · 2018/09/30
金融庁は9月26日、「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(平成30事務年度)」を公表した。これまでの「金融行政方針」と当該年度の実績を振り返った「金融レポート」を合体させ、過去(実績)と方針を並列し、読みやすい形式となった。金融界として関心が高いのは当然、前者の行政方針の部分。新しい行政方針が随所に盛り込まれているが、新機軸として、①金融デジタライゼーション戦略として金融行政方針を整理したこと、②高齢化社会におけるフィナンシャル・ジェントロジー(金融老年学)を踏まえた投資家保護の検討が挙げられる。  また、スルガ銀行のシェアハウス融資問題の反省から、とくに「投資用不動産向け融資」についてのモニタリング強化を括りだしたほか、FATF(マネーロンダリング対策・テロ資金対策について国際的な協調指導、協力推進などを行う政府間機関。国際規制に基づく加盟国への勧告なども担う)の対日審査を意識し、マネロン対策の強化にアクセントが置かれている。また、従前から金融庁が指摘してきた地域金融機関の本業の赤字が拡大していることと、持続可能なビジネスモデルの構築の促進もさらにトーンアップして書き込まれた。  ほかにも留意点、注目点は多々あるが、これらの詳細な解説は新聞解説とシンクタンクのレポートに譲るとし、以下の2点だけについてコメントしたい。
金融行政動向 · 2018/08/19
金融庁が7月に大幅な改組とそれに伴う人事異動を実施したが、新組織の具体的な運営方針にはまだ不明な点が多い。人事異動直後の7月の各金融団体との意見交換会の内容や8月初旬に開催された財務局長会議の様子から、その運営体制が見えてきた。
金融行政動向 · 2018/07/31
<財務省幹部人事の追加>財務省の幹部人事で主要局長の異動の背景を考えたが、いくつか気になる点があるので、メモとして追記する。
金融行政動向 · 2018/07/28
財務省は7月27日、定例の人事異動を行った。佐川事件・決裁文書改ざん問題を受けて、関与した職員を全てラインから外すか、あるいは留任という人事となった。セクハラ疑惑で福田次官が辞任し、人事権者である次官が不在という混乱のなかで、事務次官人事は新聞報道が錯そう、迷走したのも珍しいことだった。佐川・セクハラがキーワードとなった今年の想定外の人事について考えてみたい。
金融行政動向 · 2018/07/16
金融庁は7月17日、発足以来の初の大幅な組織改革を実施すると同時に新体制の幹部人事の異動を行う。森信親長官が勇退し、その後任に遠藤俊英監督局長(57年)を充てた。森長官が後継者と考えていた氷見野氷見野良三国際金融審議官(58年)は留任。組織改革の構想は昨年、予算編成時に公表済みだが、実際にリニューアルした組織に幹部職員を当てはめたとき、今回の組織改正の意図がはっきりと見えてきた。衣替えした「総合政策局」、「企画市場局」、「監督局」、「総括審議官」のミッション・職掌と業務の軽重は、昨年の構想公表時に想定されたもの以上のインパクトがあった。  ただ、森長官が検査局長時代から目指してきた監督と検査の一体化によって検査局を廃止したものの、モニタリング(監督と検査)のレポーティングラインが複線化したことによって一体化が不完全なものとなり、却って行政の対象である民間金融機関側が混乱する可能性もある。そもそも併任(監督局・総合政策局職員と併任する検査官)のない検査官自体を存続したため、監督と検査の一体化がこの点でも綻びが生じかねない。新組織のミッションと今回の人事異動についてコメントしたい。
金融行政動向 · 2018/07/05
金融庁が4月11日に公表した「金融仲介の改善に向けた検討会議」(有識者会議)の「地域金融の課題と競争のあり方」報告書の中身は、長崎県の地銀統合、地域金融機関の競争のあり方についての提言であったが、報告書は最後に一歩踏み込み、地域のおける全産業にわたる競争政策のあり方についての提言も付け加えた。この報告書を受けて菅官房長官が4月12日の記者会見で「人口減少下の地域金融の在り方について政府全体で議論する必要がある」とコメントしたのは、もちろん前者の地域金融の競争のあり方についてであった。  しかし、このコメントを受けて作成された今年度の政府の成長政略である未来投資会議の「未来投資戦略2018(6月15日)」では、「金融」の概念が一切取り払われ、「地域等での企業の経営力の強化、公正かつ自由な競争環境の確保、一般利用者の利益の向上等を図る観点から、競争の在り方について、政府全体として検討を進め、本年度中に結論を得る。」とされ、金融庁の後段の提言について検討するという方針が明らかにされた。テーマは金融再編から競争政策へと転換された。ではその検討の場はどこか。その着地点を考える。
金融行政動向 · 2018/06/05
森金融庁長官の後任は氷見野金融国際審議官という見方が一般的だが、直近になって遠藤長官説がながれている。なぜか。
金融行政動向 · 2018/03/10
コインチェック社から580億円もの仮想通貨NEMがハッキングされ、これをうけて金融庁は3月8日、2月2日からの立入検査結果を受けて取り扱い業者7社に対し、行政処分を行った。このうち業務停止命令を受けたのは2社。コインチェック社には、①経営体制の抜本的な見直し、② 経営戦略を見直し、顧客保護を徹底、③取締役会による各種態勢の整備、④取り扱う仮想通貨について、各種リスクの洗出し、⑤マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る対策、⑥現在停止中の取引再開及び新規顧客のアカウント開設に先立ち、各種態勢の抜本的な見直し、実効性の確保、⑦顧客との取引及び顧客に対する補償に関し、当局に対し適切な報告などについて、3月末までに改善計画書を提出することとなった。  この処分をみると、検査の結果、同社はハッキングされた仮想通貨の返却原資は確保しているもようだが、いまだに判然としない。ハッキングされたNEMがほかの仮想通貨に交換され続けている報道もあり、NEMとして返還できるか不透明だ。さらに営業再開時に解約が殺到することも考えられる。そうなると同社のキャッシュフローの枯渇もありうる。こうしたリスクをすべて考慮したうえでの検査結果と行政処分ならば、顧客の被害もある程度、抑えることも可能だろう。営業開始後に実態が明確になると考えられる。ここでは仮想通貨の定義、法的位置づけ、利用者保護はどうあるべきかを考える。
金融行政動向 · 2018/01/27
商工中金が利子補給を悪用して不正融資していた事件を受けて、商工中金の在り方検討会が提言を提出した。中身は政府系金融機関として存続するための条件が書いてあるだけで、一部メディアが報じたような完全民営化方針とは程遠い内容となっている。当初からわかっていたとおりのことで驚きもなく、ガス抜きといってよいかもしれない。ただし、今後の商工中金のビジネスモデルの構築次第では、地域金融機関の再編にも活用される可能性がある。

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