コロナ・ウィルス感染拡大と6月の内閣改造

コロナ・ウィルス感染拡大による緊急事態宣言発令が近づいている。今後、少なくとも1か月は、東京・首都圏の活動がほとんど停止すると見込まれ、その経済的な損失は1か月間でオリンピックの個人消費分に相当する。3か月となれば、3倍。GDPで年率1.5%前後のマイナス成長となることが予測されている。経済的なロスに加え、コロナ・ウィルスの感染が政治家まで広がれば、国会の閉会がほぼ決定的。となると、安倍政権は観桜会、森友問題の再燃、議員の選挙違反、検察庁人事等々の懸案を解消するために、内閣改造することが見込まれている。時期は6月。

◎6月の内閣改造

 

 コロナ・ウィルスの感染拡大は止まるところをしりません。最終的には、世界の人口の6割が感染(ワクチン感染を含む)して収束するか、治療薬が開発されてひとの経済活動が自由になるのか、いずれに落ち着くことになります。問題は時間です。これまでの新型インフルエンザを参考にすれば、少なくとも2年間は社会的・経済的な影響が残るはずです。リーマンショックを上回ればより深刻になります。今後開発される新薬が劇的に効果を上げるという楽観的な見方もありますが、まだまだ不透明です。

 

 さて、タレントの志村けん氏が亡くなり、ショックが走りました。いまの最高の医療レベルでも治癒できなかったショックは尾を引くことでしょう。これだけのコロナの広がりとウィルスの毒性に強さからみれば、日本の国会議員への感染も時間の問題と考えるべきでしょう。政治家の感染リスクの高さは、イギリスのジョンソン首相の感染をみれば明白です。

 

 仮に国会議員が感染すれば、いまの国会は即、閉会となります。閉会すれば、すぐに安倍内閣は、コロナ対策を主軸とした布陣を敷くために内閣改造に踏み切るとみられます。オリンピックの延期も決まりましたので、改造を逡巡する理由はありません。安倍総理は来年のオリンピックを花道にして解散するというシナリオが通説です。その解散をさらに有利にするための内閣改造となります。永田町筋では、目玉は若返りとのことです。霞が関の見方も同じです。

 

 この場合、二階幹事長、麻生副総理の引退は確実です。茂木外務大臣、加藤農水大臣、西村経済再生大臣、そして岸田政調会長が次の主役となります。コロナとオリンピックの延期で岸田氏への禅譲シナリオが崩れた現在、かならずしも岸田氏が次の総理となるか、わかりません。岸田氏は次期幹事長として登用されることになると思われますが、その岸田幹事長の下での解散選挙が岸田氏の次のポストを決めるのではないかとみられています。

 

 岸田氏がコケレバ、茂木あるいは加藤という人選もあるかもしれません。なお、菅氏の総理はないでしょう。世代交代が進むとみています。

 

 もうひとつ忘れてはいけないのは、小池東京都知事です。来年の解散の結果次第で、与野党の勢力が変わる可能性があります。小池の再登場も考えられるところです。そして、もう一人。野田元総理です。彼の再登場の可能性もあるのではないかとみています。

 

(以上、あくまで下馬評の予想です。いろいろな政府関係者にお会いした方から伺ったお話からの見通しによるシナリオのひとつです。有力メディアの政治部はもっと詳しく事情を知っていますので、本来は小生の出番ではないのですが、政局の見方の一つとしてこのブログに掲載しておきます。たまには、こんなテーマもよろしいかと)


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地銀の持続可能なビジネスモデルとは何か

金融庁は2月7日、「地域金融機関の経営とガバナンスの向上に資する主要論点(コア・イシュー)」を公表した。その意図は、この論点を金融庁と地域金融機関経営者との「対話」のテーマとし、彼らの持続可能なビジネスモデルの構築を促すというものである。地域金融機関からは、「金融庁から持続可能なビジネスモデルを作れと矢の催促だが、この低金利のなかで、どんなモデルが可能なのか」と半ば開き直りの声も聞こえる。持続可能なビジネスモデルを催促する動きは森前長官時代からのものだが、今回は早期是正措置を改正した上での取り組みだけに、これまで以上の強い圧力がかかる。ビジネスモデルが描けなければ、地域金融機関は合併、業態転換か、あるいは解散の道しか残されない。あるいは別の道があるのか考えてみたい。

 

◎コスト削減戦略の限界

 

 コア・イシューについての地域金融機関の経営者からのコメントはほとんど見かけません。すでに言い尽くされているからでしょう。遠藤長官が長官就任時に掲げた「深度ある対話」も周知されています。対話の成果についての金融庁自身の自己総括は公表されていないものの、継続している以上、成果に確信があるものと推察します。しかし、それが本当に持続的ビジネスモデルの確立につながっているのか、判然としません。

 

 一般的には、持続可能なビジネスモデル対策といえば、まず、経費削減、人件費削減、人員削減、店舗削減といったコスト戦略が中心になります。実際、そうした取り組みは年々徹底されてきています。それでもなお、さらなるビジネスモデルの構築を促すということであれば、その意図するところは解体的なモデルへの転換なのだと思われます。

 

 象徴的な解体的なモデル転換は、いわゆる再編・統合です。これも進んでいます。県を超えた統合も目立ち始めました。金融庁の遠藤長官が最初に口にした「銀行の非上場化」もそのひとつだと思います。単なる上場廃止ということだけでなく、協同組織金融機関への業態転換も意図しているのではないかと思われます。まだ、それぞれ第1号は出ていませんが、上場廃止は東証の上場整理の際に出てくるでしょう。また、信金、信組もいずれ、再編・統合するときの選択肢として現れると考えています(それぞれ収益の外部流出を抑制する手段です)。

 

 ただ、いずれもコスト削減戦略です。縮小均衡戦略です。金融庁は縮小均衡を求めているのでしょうか。ある金融庁幹部は、独禁法の特例法について「そもそも再編・合併は、解ではなく、時間稼ぎに過ぎない。その間にビジネスモデルをどう構築するかが問われている。特例法は、そのために10年間という期間を与えたものだ」と語っていました。つまりコスト削減戦略を取れといっているわけではありません。むしろコスト削減は時間稼ぎに過ぎないと言っています。

 

◎運用業者としての道

 

 では、時間稼ぎではないビジネスモデルとは何でしょうか。まず、過疎化と人口減少が続く限り、店舗の廃止は当然です。お客様のいない店舗は意味がありません。あるいは、単純な窓口業務だけならパートやアルバイト、派遣社員で対応できるでしょう。それでもお客様が来ないのなら、店舗廃止は絶対です。撤退です。お客さまのいない場所でのビジネスはありえません。すでにこうした現象は全国的に広がっています。

 

 問題はコスト削減を終えた、その次の段階です。地域のインフラとして残ろうとしても、いまの銀行業務をコアとしている限り、ビジネスモデルは成立しません。あるとすれば、「お客様から有料で預金を預かる」しかありません。言葉を替えれば、運用者としてビジネスを展開するしかありません。銀行業務の一部だけを担うという考え方です。いわば投資顧問業です。

 

 ここまでは必然でしょう。そして運用者としてのビジネス展開が無理だとすれば、廃業しかありえません。あるいは、ほかの業態への転換です。論理的な帰結と言ってもいいのではないかと思います。

 

 加えて、金融庁が意図しているかどうかは別として、決済の自由化を図っていることも銀行の居場所を狭めています。このインパクトを無視することはできません。

 

◎ファンドとして生き残る

 

 次に、金融機関が別の業態に転換するということは可能でしょうか。地域商社というアイディアがあります。また、不動産業者という選択もあるかもしれません。しかし、いずれにせよ、現有のリソースをそのまま活かすということにはなりません。

 

 小生にアイディアがあるわけではありませんが、投資会社=ファンドになるという選択があるかもしれません。この場合、融資ではなく、出資です。しかし、独禁法の制約があります。この制約を乗り越えるには、銀行であることを止めるか、独禁法の適用除外を求めるしかありません。勿論、銀行免許を返上してファンドになるという道もあります。これならば、独禁法は無関係です。

 

◎コロナ・ショックの追い打ち

 

 以上は、中期的な経営問題ですが、直近の問題への対応も見逃すことはできません。コロナ・ショックは、企業倒産に拍車を掛けます。たとえば、観光関連は、SARS騒ぎをベースにすれば、少なく見ても6~9か月間の急激な売り上げの落ち込みが想定されます。また小売業全体への影響も、これも10%程度の落ち込みは覚悟しなければなりません。小売りの10%は大きな影響です。

 

 このとき、地域金融機関は中小企業を支え切れるでしょうか。NOです。政府保証と公的金融機関の融資がなければ、支えきれないことは、これまでの経験からも自明です。とりわけ疲弊が大きな金融機関、再編でしか生き延びられない金融機関に中小企業は今回のようなコロナ・ショックへの援助を求めることはできません。コロナ・ショックは、期せずして、ビジネスモデルの転換をさらに促進させることになると思われます。

 


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金融制度の大改革-決済・仲介法制WG報告

金融庁の金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(決済WG)が、昨年12 月20日に公表した報告書は、現在の金融制度を大きく変える画期的な内容を盛り込んだ。大きな視点からみれば、①もはや決済が銀行固有の業務ではなくなること、そして、②幅広い金融商品の仲介者として「新たな仲介業」を認めたことから、証券会社の認可制、保険会社の免許制がゆらぐこととなる。報告書を単に資金異動業者の扱う送金額の上限規制がなくなると理解するだけでは、今回の制度改正の意義を見失うだろう。

 かつて証取法が金商法にとって代わることによって、証券会社という名前が法律から消滅した。銀行もその根拠法である銀行法が消滅するわけではないが、銀行法に定めた業務範囲は事実上、他者を排除する固有の保護された許可業務ではなくなる。金融庁が目指した金融制度改革は、今回の「横断的法制」によってほぼ完成し、残るは銀行持ち株会社制度と事業持ち株会社制度とのイコールフッティングの調整のみとなった。

 

◎決済の自由化

 

 金融庁が新たな金融制度改革に取り組み始めたのは、2017年の11月のことです。「金融制度スタディ・グループ」という検討会を立ち上げ、①同一の機能・リスクには同一のルールを適用(金融機能を決済、資金供与、資産運用、リスク移転に4分類し、機能・リスクに応じたルールの適用を検討)と、②金融規制に関する基本概念・ルールの横断化の検討に着手しました。

 

 今回のWGによって、「その所期の目的はほぼ達成」(金融庁)されることになります。今年の通常国会に法案を提出する準備を進めていますので、順調に行けば6月にも新しい金融制度の枠組みが決定されます。ここでは制度の細部の解説は省きますが、決済WGの意義を再確認しておきたいと思います。

 

 日本の金融制度は業者ごとに区分され規制されてきました。それが、金商法の登場によって、証券業が解体され、証券会社の名称も法律からは消え、第1種金融商品取引業登録業者、第2種金融商品取引業登録業者といったように機能別の業者に分解されました。日常的に証券会社という名称は使用されていますが、法律の上では証券会社は存在しません。

 

 今回、銀行法は廃止されるわけではありませんが、銀行業の解体が今回の法改正(商品販売法の改正)で行われます。勿論、銀行も銀行の名称も残ります。しかし、銀行固有の排他的な業務は預金業務を除き、存在しなくなります。誤解を恐れず、極端な表現にしますと、銀行は預金取扱業者となります。ほかの業務は排他的ではなくなるからです。

 

 ご承知のように貸出はすでに、とうの昔から貸金業法などによって制度整備され、ノンバンクの存在感も強くなっています。今回、資金移動業者の決済額が、青天井になり、決済業務が銀行以外に開放されます。銀行決済は各決済業者の最終尻の調整と日銀との資金取引きという利益の伴わない業務になります。(銀行が預金業務だけ行うということではありませんので念のため。銀行の3大業務である預金、貸出、為替のうち、為替が自由化されるということです)

 

 ただ、銀行はこうした制度改革にともない、資金移動業の子会社を設立すると見込まれていますので、その利益はグループ内に留まるはずです。フィンテック業者との連携によって、新しい決済サービスを作り出していくことになるでしょう。

 

 また、現在、給与の支払い手段として資金移動業者への送金が検討されています。厚労省が労基法上の扱いを緩和すれば実現します。これも実は大変な社会的なインパクトがあります。サラリーマンの給与振り込みの口座が銀行から資金移動業者へと移っていくからです。その資金をキャッシュレスの決済にそのまま使えます。残った資金は運用会社に送金すればよいのです。あるいはポイントが付くかもしれません。

 

 送金手数料も当然、銀行の送金よりも安くなります。スマホで家計管理するときにも便利でしょう。当たり前の給与振り込みという光景が消えていくかもしれません。決済の自由化は、現金が使いにくくなる世界を誘導します。社会システムを変えるものなのです。

 

 投資家保護あるいは預金者保護、決済の保護は、まだ調整がついていないのではないかと思われます。未調整のままでいこうという、一種の思い切りがあります。決済業者が倒産したとき、どこまで保護するのかといったテーマは、預金の保護の議論のように厳密には考えないということだと思われます。むしろ、簡潔でスピーディでしかも安価な決済は、利用者保護の利益を上回る社会的な便益があるという判断だと思われます。この判断も画期的です。

 

◎新しい仲介業の業務範囲

 

 「新しい仲介業」は、銀行、証券、保険会社の取扱商品をほぼ「媒介」することができます。オールラウンダーの金融業者です。ネットでの業者をイメージしていますが、対面方式も含まれます。ただし、代理店ではありません。あくまで、貸出、預金、株式などの有価証券の媒介、保険の媒介です。

 

 しかし、代理店となることも可能ですから、いわばブッキングも媒介も可能になります。FPというよりも顧客に密着した存在になります。オンライン業者のイメージが強いのですが、実は対面も含まれますので、なんでもありありの業者が登場するのです。新しいアイディアです。

 

 ただ、新しい仲介業について、当局が念頭に置いているのは、リーテイルです。ホールセールの世界ではありません。銀行も証券もそして保険も、この区分けが次第に明確になっていくのではないかと思っています。アメリカでは、すでにブローカー証券会社は事実上、消滅しました。投資銀行、あるいはネット証券へと変貌しました。金融は運用の世界へと特化し、変貌していくことになります。

 

◎業者概念の否定

 

 今回の金融制度改革は、既存の銀行、証券、保険という業者概念を消し去り、横串で、機能別に制度を作り替えるという壮大な試みです。世界にも例のない取り組みです。当局は、業者をモニタリングするのではなく、行為をモニタリングします。監督行政の大転換でもあります。

 

 残された金融制度改革のテーマは、持ち株会社の扱いです。ソニー、イオンなど事業会社が金融持ち株会社を完全子会社としていますが、銀行の金融持ち株会社は独禁法との関係から、事業会社の株式保有に制限がかかっています(5%ルール)。同じ金融業を展開するのに、かたや商流との連携がしやすく、かたや禁止です。イコールフッティングをどう考えるかという問題です。この問題については別の機会に述べたいと思います。

 

 ごく、あっさりと今回の制度改革の意義について書きましたが、これに沿って金融ビジネスとその主体が入れ替わっていくことになります。かつて地図上のランドマークは銀行の支店でした。それが、いまやコンビニに入れ替わっています。金融業の担い手のイメージも変わるでしょう。いまも、小生の自宅にヨドバシ・ドット・コムの配達がありましたが、そうしたドライバーが代替する日も近いのかもしれません。

 

*WG報告は下記の通り。

 

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20191220/houkoku.pdf


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消費税キャッシュレス・ポイント還元継続は必至

2019年10月の消費税率10%への引き上げによる消費減退の影響は、政府が想定した以上に厳しいものとなる見込みだ。増税緩和策であるキャッシュポイント還元対策は6月末までだが、すでに延長・継続は必至との見方が台頭している。

 

◎芳しくない個人消費動向

 

 昨年の消費税率の引上げ後の消費動向が芳しくありません。様々な消費関連指標がありますが、例えば、上昇・プラス傾向が続いていた世帯消費動向指数(二人以上世帯)は、2019年10月、11月と続けて前年比低下しました。この指数は、2014年4月1日の8%への3%の引上げ直後から低迷していましたが、2018年半ばごろになって、ようやく増勢に転じて一服していました。

 

 14年から18年までですから、増税の影響はほぼ5年間に及ぶ影響を与えたことになります(勿論、増税の要因だけではないのですが、主因です)。仮に影響の度合いが前回と同じようなものであれば、今回の増税分は2%分なので、「今後3年間は影響が残る」(シンクタンク)可能性があります。

 

 消費関連の指標としては、景気ウォッチャー調査も有名です。現状DI は消費増税直後の2019 年10 月に36.7(9 月46.7)へ大幅に低下した後、11 月に39.4、12 月に39.8 へ、2 ヶ月連続で持ち直したものの、前回の消費増税局面に比べ、持ち直しのDI 水準が低くなっています(2014 年3 月54.1→4 月38.4→5 月43.5→6 月47.9)。増税後の需要が低迷していることを示しています。

 

 四半期ベースでみても飲食関連、サービス関連、住宅関連が芳しくありません。客単価の低下や利用客数の減少が指摘され、家計動向のDI 水準は相当に低く、消費の基調は弱い状況です。DI調査には、サービス関連は総崩れで、増税の悪影響が続いているという指摘が目立ち、小売関連では、キャッシュレス・ポイント還元が終了したあとの需要減を懸念する回答が寄せられています。こうした動向から、エコノミストの間では、「来年6月末までの時限措置だが、延長は必至」との見方が広がっています。

 

◎財源額と財政健全化への貢献度

 

 キャッシュレス・ポイント還元の緩和策の財源は、2019年度予算で2,798億円計上されました。ところが、いざスタートすると想定した以上に還元が進み、昨年の19年の補正予算で1,497億円追加されました。1日当たり10億円と想定していたのですが、実際には14億円近い還元が生じています。ポイント還元は今年の6月末までですが、20年度予算にその財源として2,703円計上されています。合計すると7,000億円になります。この2,703億円ですが、還元を求める中小企業者が増えていることもあり、もしかすると不足する可能性もあります。

 

 消費税増税分は年間5兆円程度になります。このうち、社会保障費に1兆円、子育て支援などに1.7兆円が使われ、残りの2.3兆円は借金の減額(あるいは社会保障費に充当)に充てられれます。いまのところの話です。しかし、この1年間に限れば、ここから7,000億円差し引かねばなりません。しかも、還元の期間は9か月分だけです。初年度の手取りは、1.6兆円ということになります。

 

 仮にポイント還元を継続するとなれば、すくなくとも年間9,000億円程度(あるいは、還元率が高とまればそれ以上)、還元に消費者が殺到すれば1兆円の還元になります。これが恒久化されるとどうなるでしょうか。つまり、2.3兆円から1兆円差し引いた額である1.3兆円分が財政健全化に資するという計算になります。1000兆円の借金に対し、1.3兆円の効果しかないことになります。


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地銀の包括提携という名の統合・カルテル

地銀同士の業務提携が進んでいる。従来の提携とは一線を画し、「包括提携」を締結する動きが活発である。包括提携の中身はそれぞれのケースで異なるが、実態は、提携による「競合回避」の色彩が強い。公取の眼をそらすという意図があるのかもしれない。

◎青森銀行とみちのく銀行の預貸シェアは7割に

 

 10月28日に公表された青森銀行とみちのく銀行の「包括連携」には、驚きを隠せませんでした。まず、両行合計の預貸の青森県内シェアは7割とあの長崎県の地銀統合に匹敵するものだからです。もし、このまま統合を目指すのなら、公取は黙っていないはずです。ただ、来年成立が予定されている独禁法適用除外の特例法を適用して統合・合併は可能です。

 

 しかし、特例法をまたずに包括提携したということは、そこに何らかの戦略があるはずです。結論から言えば、包括提携は、事実上のカルテルを意図しているのではないかということです。これも仮の話ですが、長崎の親和と十八銀行も包括提携だったならば、公取はなかなかNOとは言えなかったと思われます。事実としてのカルテルはまだ存在しないからです。青森とみちのく銀行の公表文は、「引き続き健全な競争関係を維持しつつ」と、このあたりを十分意識して書かれています。

 

 発表によれば、「ATMを相互に無料で利用できるようにするほか、預金業務に関する書類を共用したり、バックオフィス業務を共通化したりする。これまで共同開催してきた商談会についてもお互いのネットワークを提供し合うことで取引先支援を拡大する。」となっています。

 

 提携の狙いは、当面は物件費の削減にあるようです。しかし、「お互いのネットワークを提供し合うことで取引先支援を拡大する」はどう解釈すべきでしょうか。すでに両行は地元企業のビジネスマッチング事業などで協力関係にあります。それを、さらに提携して深化させていこうというものです。取引先企業の紹介に止まらず、いわば両行が一体となって、特定の企業を支援するということです。もはや競合している場合ではないという判断が含まれます。競合を回避して、提携するというのは、カルテルと紙一重です。

 

◎福井銀行と福邦銀行の包括提携は準統合

 

 福井銀行と福邦銀行は9月13日、資本提携も含めた包括連携の検討を開始すると発表しました。連携内容は?取引先の経営課題解決など法人向け支援、②事業承継や事業再生支援、③まちづくりや地域活性化への協働、④効率的業務運営へ向けた事務の共同化、⑤店舗集約による顧客利便性の補完となっています。

 

 「店舗集約による顧客利便性の補完」、つまり店舗の統廃合ですから、限りなく統合に近い包括提携です。資本提携も展望していますので、準統合と言って差し支えないと思われます。ただし、システムの共同化は「検討中」とのこと。青森・みつのく銀行よりも一歩進んでいます。もともと、両行は関係が深いということもあり、準統合には違和感はありません。

 

 また、公取が問題視するようなシェアの問題もありません。

 

◎千葉銀行と横浜銀行の奇妙なパートナー・シップ提携

 

 千葉銀行と横浜銀行が7月10日に公表した提携の意図はどこにあるのでしょうか。首都圏にあり、規模も同じ、収益力もほぼ同じです。仮説として考えられるのは、「首都圏案件」では喧嘩をしないという約束を交わしたというものです。いわば休戦協定です。お互いに邪魔をしない。金利競争をしない。千葉が取引しようとしている案件には横浜は手を出さないということです。カルテルのような気がしますが、市場が広いため、カルテルとは言いにくい微妙な提携です。

 

 この提携で奇妙なのは、千葉銀行とコンコルディア・フィナンシャルグループ(横浜銀行+東日本銀行)との提携となっていないことです。つまり、東日本銀行は除外されています。千葉銀行は東日本銀行の取引先を浸食してもいいのかどうか。この答がありません。多分、競合を想定していないためだと考えられます。だから、提携の主体から外したのだと思われます。これも仮説です。そうした説明がありませんので、いまのところ仮説としておきます。

 

 最近の3つのケースを取り上げましたが、今後とも包括提携という名前の統合やカルテル的提携が増えると予想されます。合併・統合のほうが、はた目にはすっきりみえますが、統合は人事制度の調整、年金など、手が付けられない問題を抱えます。しかも、面子の問題もありますから、新銀行名も大変です。それならば、独立したまま、仕事の共同化と調整を図ったほうが、よほど効率的です。

 

 システムの統合はもっと大変です。ならば、当面は包括的提携が進んでいくものと思われます。


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